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ハート流布少年の備忘録

良いと思ったことや作品を「いいね!」と言うためのブログ

シン・ゴジラで庵野監督が好き放題やっていて最高だったっていう感想

巷で話題の『シン・ゴジラ』を観てきました。

 

最近、邦画に飽きてきていた私も楽しめたので、ちょびっと感想を書きます。

もう既に「ゴジラは結局何だったのか」とか、「庵野はこれが言いたかったんだ」といった高尚な考察及びレビューはなされていると思いますので、個人的に思ったことをツラツラ書き連ねていこうかと。

これから書くのはシン・ゴジラという作品についてではなく、シン・ゴジラを作った人たちについて、個人的にいいね!と思ったことです。

映画制作現場を全く知らないド素人が書くので、制作関係の方などは不快に思われるかもしれません。「そういうの無理、放射熱線吐く!」という方は是非ブラウザバックをお願い致します。

 

だけど、とある登場人物がこの映画で「私は好きにした、君らも好きにしろ」って言ってましたよね。

 

じゃあ私も好きにする!!!!好きにするからな庵野!!!!!素人だからこそ書けることをガンガン書くからな!!!!!!!!!気をつけてね!!!!!!

 

 

シン・ゴジラ』公式サイトはこちら↓

http://www.shin-godzilla.jp/index.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 以下、感想

 

 

樋口さんを始めとするシン・ゴジラ制作関係者「行きなさい!庵野くん!誰のためでもない!あなた自身の作りたいもののために!!!!!!!」

 シン・ゴジラという映画を1行くらいでわあああって説明するなら、こんな感じです。

ほんっとに庵野監督がやりたいことをやりたいようにやっていた映画であったと思います。

それと同時に、周りの大人たちが尽力して尽力する庵野監督に好きなようにさせていた映画なのではないかなと推察します。

ネット上でも様々な立場の方が「最近の邦画なら人物の感情の移り変わりを中心に描いていくはずのところをバッサリ切って、登場人物が淡々とやるべきことをやっていて面白い」といった感想をつぶやいたりブログにしたりしているのを見かけました。

近年の邦画では「製作委員会方式」という方法での映画製作が多く、こんな感想を引っ張り出す作品は本当に珍しいと私自身も思いました。

その点で、東宝の社員さんたちが全国津々浦々を駆け回っていたんだろうなぁと察しました。エンドロールにも沢山の協力企業、自治体、団体の名前がずらり。東宝の皆さん、本当にお疲れ様でしたなぁ。

 

 

製作委員会方式」のメリット・デメリット

ところで、「製作委員会」って一体なんなのでしょう。

よく、邦画のクレジットの最後の方に「○○製作委員会」という言葉が流れてくるのを目にしますね。単に製作スタッフ全体を委員会という粋な言葉で表しているだけ?かと思いきや、少なくともそんな仲良しこよしな集団ではありません。

製作委員会方式とは、ざっくり言うと

「この不景気の時代、映画なんていうアタるかアタんないかわからない博打みたいな事業をやるのは怖いからいろんな企業がお金出してリスク分散していきましょーねー」

っていう感じの制度のことです。 

リスク分散だけでなく、映画配給会社はもちろん映画に関わる企業(例えば、映画の原作である作品を出版した出版会社、番組で映画について宣伝してくれるテレビ局、広告代理店、映画のキャラクタを使った商品で販促する商社やコンビニ)が協力して自身の分野で販促を行うことで、業界全体で儲かっていくことができます。

その始まりは薬師丸ひろ子さん主演の『セーラー服と機関銃』とも言われ、アイドルの売り出し、原作本の販促、楽曲や関連書籍で映画宣伝をしながら実質的な利益で協賛会社も潤うというスタイルが引き継がれてきました。

 

 一方、 シン・ゴジラ製作委員会方式ではなく、東宝が単独で作った映画です。

 そのためシン・ゴジラにはスポンサーというものが存在しません。東宝が1社のみでそのリスクと責任を背負って作った映画です。もし映画がこけた時の損失を考えると、このご時世ではかなりの賭けであったことは想像に難くありません。

しかし、リスクを一身に負うだけのメリットもまた存在します。

それは「映画制作会社が思うように好きなように映画を作れること」=「ゴジラが『シン・ゴジラ』で大いに暴れまわれるということ」です。

製作委員会方式では幹事となる企業はいることにはいますが、結局は複数の企業で出資するため、どうしても協賛企業にお伺いをたてながら映画を作ることになります。このような大きな団体同士がリスクだけは避けつつ、それなりの見返りを求める時、「今までの傾向を鑑みた上での絶対的な安全牌を切る」という現象が起こることがあります。

そのせいなのかはわかりませんが、近年の邦画は感動、男女の恋愛、子ども・小動物、人気作品が原作といった「失敗せずに売れるための要素」を盛り込んだ作品が溢れかえり、どこか均一化しているような印象がありました。

そんな中で「シン・ゴジラ」では、東宝は一人で戦うことを選択しました。その結果、こうした「それなりに売れる作品」からの脱却を果たし、表現者がやりたいようにできる自由を手に入れました。

作中でゴジラが東京の街を紫の放射熱線でこれでもかと破壊し、日本政府がゴジラに対してお涙頂戴人間ドラマや奇跡などではなく、会議と熟議と科学技術及び無人在来線爆弾で立ち向かったのも、製作委員会方式にしなかったからこそできた表現だったのでしょう。これにより、シン・ゴジラは均一な邦画ラインナップの中でひときわ輝く異質な存在となりました。

 

 

独りよがりではない「好き放題」をする自由を

 私がこの映画を観て、一番心を動かされたのは「庵野が全力でこっちに表現したいことを投げてきてくれている」点でした。

公式ホームページのコメントで、庵野監督はこのように述べています。

過去の継続等だけでなく空想科学映像再生の祈り、特撮博物館に込めた願い、思想を具現化してこそ先達の制作者や過去作品への恩返しであり、その意思と責任の完結である、という想いに至り、引き受ける事にしました。
今しか出来ない、今だから出来る、新たな、一度きりの挑戦と思い、引き受ける事にしました。

(中略)

ゴジラが存在する空想科学の世界は、夢や願望だけでなく現実のカリカチュア、風刺や鏡像でもあります。現在の日本でそれを描くという無謀な試みでもあります。
正直、世界資本に比べると制作費も制作時間も極端に少ない日本の現場で、様々な内容面に関する制約の中で、果たしてどこまで描けるのかはわかりません。

ただ、映画としてのプライドを持ち、少しでも面白い映像作品となる様に、本作もシン・エヴァも全力で作っていく事が、今の僕に出来る事だと思って作業を進め、映画の方向性や脚本内容等で紆余曲折あり、現在に至っています。

 

(引用元:シン・ゴジラ公式ホームページ内コメントhttp://www.shin-godzilla.jp/index.html

 

やりたいことをやる、と言ってもその表現は決して独りよがりではなかった。今の日本でしかできないゴジラを作るという信念のもと、彼は今しかできない表現をこだわり抜いて「シン・ゴジラ」を世に送り出したのです。初代ゴジラでも行っていた非現実で現実を浮き彫りにする手法で、伝えたいメッセージを世界に発信したのです。

やっぱり、創りたいものを全力で創っている作品の方が観ていて圧倒的に面白い。

そのことを実感させてくれる、素晴らしい映画だったと思います。

 

だからこそ、日本のエンターテイメント界をお金で支える人たちに言いたい。

シン・ゴジラは決して、単純に庵野監督だからヒットしたわけでも、ゴジラだからヒットしたわけでも、石原さとみが良かったからヒットしたわけでも、恋愛要素を全部排除したからヒットしたわけでもない。

確かにそれらの要素はそれぞれに映画を面白くしているけれど、その一つ一つの要素だけだったらシン・ゴジラを観た人が「今期一番だ」だと興奮気味に語る作品にはできなかったでしょう。

それよりも私は「庵野監督やスタッフ・キャストが徹底的に好きなようにしたからシン・ゴジラはヒットした」と思いたいです。

もし、創り手が好きにできていなかったなら、上記のような個々の素晴らしい要素がシン・ゴジラのようには組み合わさっていないはずだし、何よりこんな全力投球な映画にできていないはず。

 

 

 表現者が好きなように表現してより良い作品を産み出すためには、言わずもがな「お金」「時間」が必要です。

それは映画だけに限った話ではありません。本も漫画もドラマもアニメも演劇も、何なら人間そのものにも当てはまることです。

そのためにも、スポンサーとなる皆さまにはお金だけは出してもらって、できるだけゆっくり作品制作を待っていてほしいのです。彼・彼女らが納得のいく表現を全力で作っていく過程を焦らず、焦らさず、待っていてほしいのです。

 

 

 

最後に、あのエヴァンゲリオンの名台詞「全てのチルドレンにありがとう」にちなんで一言。

 

全ての「シン・ゴジラ」に関わったオトナにありがとう。

 

 

 

参考文献・参考記事

 

テレビ進化論  (講談社現代新書 1938)

テレビ進化論 (講談社現代新書 1938)

 

 製作委員会の話はこちらの新書を参考にして書きました。少し前の本ですが、今の映像メディアの状況を予言するようなことも書かれており、なかなか興味深かったです。

 

headlines.yahoo.co.jp

私の言いたいことをコンパクトにまとめてある記事。読みながら、3万回くらい「それな」ボタン押しました。

 

nlab.itmedia.co.jp

東宝のオトナたちとその勇気ある決断、粘り強い交渉にマジで感謝したくなる記事。ありがたや、ありがたや。

 

azanaerunawano5to4.hatenablog.com

 こちらは邦画の行く末を憂慮している記事。『シン・ゴジラ』から邦画の風向きが変わっていってくれると、もれなく私が喜びます。セリフがないシーン、もっとあってもいいんだよ。子どもの頃に観てよくわからなかった映画を大人になってもう一度観た時、初めてその意味がわかる感動というものを大切にしてもいいのではないでしょうか。

 

azanaerunawano5to4.hatenablog.com

 この記事も一つ上の記事と同じ方のもの。とあるシン・ゴジラレビューに対する反論をかなりズバズバ書いていて面白いので、リンクをぺたり。

 

eveprimrose.hatenablog.com

 確かにコモディティ化が進む社会では「信者」を作りゃ話しは早いけど、そこに待ったをかける良記事。どんどこ量産するだけでは、エンタメという文化は発達しないのではなかろうかと考えさせられました。